ロボットピッキングに画像処理が必要な理由
産業用ロボットの導入は進んでいますが、段取り替えの手間は10年前からあまり変わっていません。対象物に合わせて治具や設定を変更し、キャリブレーションをおこない、テストと修正を繰り返す——この手間を解消する手段がロボットビジョンです。
画像処理でワークの位置・姿勢・品種をリアルタイムに認識することで、治具レスでの柔軟なピッキングが可能になります。少量多品種生産では特に効果が大きく、段取り替えの時間を大幅に削減できます。
ロボットビジョンの3つの用途
位置決め・アライメント
ワークの位置と角度を検出し、ロボットに座標を出力。高速・高精度な位置決めを実現。
品種識別・表裏判別
ワークの品種・方向・表裏をカメラで判別。多品種ラインでの混流生産に対応。
バラ積みピッキング
3Dカメラでバラ積みされたワークの位置と姿勢を認識し、1個ずつピッキング。
2Dビジョン vs 3Dビジョン
| 項目 | 2Dビジョン | 3Dビジョン |
|---|---|---|
| 取得情報 | XY座標+角度 | XYZ座標+姿勢(6自由度) |
| 対象ワーク | 平面上の整列品 | バラ積み・高さのあるワーク |
| 重なり対応 | 不可 | 対応可能 |
| 処理速度 | 高速(数十ms〜) | やや遅い(0.5秒〜) |
| コスト | 低い | 高い |
| 用途 | 位置補正、品種識別、アライメント | バラ積みピッキング、3D検査 |
バラ積みピッキングの仕組み
バラ積みピッキングでは、3Dカメラでワークの3次元形状を取得し、CADデータと照合してワークの位置と姿勢を特定します。
3D撮像
パターンプロジェクション法等で3D画像を生成。複数方向からの投光で死角をなくす。
3Dサーチ
CADデータから各方向のサーチモデルを自動登録。ワークの位置・姿勢を検出。
把持位置計算
ハンドの形状を考慮し、干渉なくピッキングできる把持位置を算出。
経路生成
ロボット・ハンド・箱の干渉を回避した最適な移動経路を自動生成。
キャリブレーションの重要性
ロボットビジョンの精度はキャリブレーション(カメラとロボットの座標系の対応付け)で決まります。従来はティーチングペンダントを使った手作業で座標を指定する必要があり、作業者によって精度がバラつきました。
最新のシステムではオートキャリブレーションに対応しており、ワンクリックで完了します。設置位置がズレた場合の再キャリブレーションも即時実行可能で、復旧時間を大幅に短縮できます。
画像処理のサーチ技術
パターンサーチ
あらかじめ登録した画像パターンと入力画像を比較し、ワークの位置・角度を検出します。圧縮画像での粗サーチ→段階的な精密サーチで高速性と高精度を両立します。
輪郭形状サーチ(ShapeTrax)
画像の輪郭情報を使ったサーチで、ワークの欠けや重なり、表面状態の変化があっても安定した検出が可能です。自動特徴抽出アルゴリズムにより、設定の試行錯誤が不要です。
つかみずれ補正
ピッキング後のワークを2Dカメラで再度撮像し、つかみ位置のずれを補正。バラ積みピッキング+つかみずれ補正の2段構成で、最終的な配置精度を高めます。
AI/VLMが活きる領域
ロボットピッキングの全工程をAIで置き換える必要はありません。位置決めや経路生成はルールベースが高速かつ安定です。AIが活きるのは以下の領域です。
多品種の品種識別
パターンサーチでは登録品種数が多いと処理時間が増加。VLMなら登録なしで品種を識別でき、品種追加のたびにパターン登録する手間がなくなる。
表裏・方向判別
似た形状のワークの表裏や、わずかな特徴の違いによる方向判別。VLMは「人間なら見分けられるが、ルールベースでは定義しにくい差異」の判別に強い。
不定形ワークの認識
食品や農産物など、形状が一定でないワークの認識。CADデータがない場合でも画像ベースの学習で対応。
ピッキング後の外観検査
ピッキング=搬送だけでなく、ピッキング時にワークの外観検査を同時に行う。検査とピッキングの工程統合でサイクルタイムを短縮。
導入時のチェックポイント
サイクルタイム
3D撮像+サーチ+経路生成で1サイクルあたり何秒かかるか。生産タクトタイムとの整合を確認。
ロボット対応
画像処理システムが自社のロボットメーカーに対応しているか。主要メーカーへの直結接続が可能か。
ワークの多様性
ワークのサイズ・形状・材質のバリエーション。光沢・透明・黒色ワークは3D取得が困難な場合がある。
Nsightのアプローチ
Nsightは元キーエンス画像処理部門のメンバーが在籍しており、ロボットビジョンの設計において、カメラ・照明の選定から画像処理アルゴリズムの設計、ロボットとの連携まで一貫して対応します。
画像処理システム × VLMのハイブリッド構成
位置決め・経路生成はルールベースの画像処理で高速に処理し、品種識別・外観検査はVLMで柔軟に対応する構成が可能です。既存のロボットラインへの後付けにも対応しています。
ラベル文字認識・照合
ピッキング対象のラベル読み取り・照合はVLMが検査自体を行います。学習なしで文字の位置と意味を理解し、マスターデータと照合。品種が変わっても設定変更なしで対応可能です。
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