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Jetson AGX Orinで外観検査AIを構築する方法

エンジニア・SI業者向け。クラウドAIとの比較、システム構成例、TensorRT最適化、NsightがJetsonを選ぶ理由。

なぜ工場の外観検査にJetsonを使うのか

製造現場の外観検査でクラウドAIではなくエッジAI(Jetson)を選択する理由は明確です。工場ネットワークのセキュリティ要件、タクトタイムに起因するレイテンシ制約、そしてランニングコストの3つです。

Nsightでは累計40件以上の外観検査プロジェクトでJetson AGX Orinを採用し、製造ラインへの組み込みを行っています。

クラウドAI vs エッジAI(Jetson)の比較

項目クラウドAIエッジAI(Jetson AGX Orin)
レイテンシ100ms〜500ms(ネットワーク依存)10ms〜50ms(ローカル推論)
セキュリティ画像データが外部に出る工場内完結。データ流出リスクなし
ランニングコスト月額5万〜50万円(API課金)電気代のみ(月額数百円)
オフライン対応不可(ネットワーク必須)可能(完全オフライン稼働)
初期コスト低い(サーバー不要)Jetson本体+開発費が必要
スケーラビリティ高い(サーバー増設容易)ライン単位で個別デプロイ

製造現場では「画像データを外部に出せない」「ネットワーク障害で検査が止まってはならない」という要件が一般的であり、エッジAIが適しています。

Jetson AGX Orinを選ぶ理由

スペック

  • GPU:2048 CUDA Core + 64 Tensor Core(Ampere)
  • AI性能:275 TOPS(INT8)
  • メモリ:32GB / 64GB LPDDR5
  • 消費電力:15W〜60W(設定可能)

外観検査に適している理由

  • 推論性能:TensorRT最適化で1推論10ms以下。タクトタイム100ms以下のラインにも対応
  • マルチカメラ:USB3/CSI/GigEカメラを複数同時接続可能
  • 産業用I/O:GPIO/SPI/I2CでPLC・トリガ信号との直接接続が可能
  • 環境耐性:産業用キャリアボード(Macnica等)で-20〜+70℃対応
  • NVIDIA Jetson エコシステム:JetPack SDK、TensorRT、DeepStream等のツール群が利用可能

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外観検査システムの構成例

典型的なシステム構成

コンポーネント選定例備考
カメラOPT Machine Vision / Basler ace 2GigE接続。解像度は検査対象の最小欠陥サイズから逆算
照明同軸落射 / ローアングル / バックライト欠陥タイプに応じて選定。元キーエンスの光学設計ノウハウ
エッジAIJetson AGX Orin 64GBMacnica製キャリアボードで産業用途に対応
推論エンジンTensorRT(FP16/INT8)PyTorch→ONNX→TensorRTの変換パイプライン
検査ソフトNsight独自開発(FastAPI + React)ルールベース+AI+VLMのハイブリッド構成
PLC連携TCP/Modbusトリガ受信→判定→排出制御

TensorRT最適化の実践

変換パイプライン

  1. PyTorchモデルを学習・検証
  2. ONNX形式にエクスポート
  3. TensorRT Engineに変換(FP16またはINT8量子化)
  4. ベンチマークでスループット・精度を検証

実測パフォーマンス(Nsight実績)

モデルFP32FP16INT8
ResNet50(分類)45ms12ms6ms
YOLOv8m(検出)85ms25ms14ms
U-Net(セグメンテーション)120ms35ms20ms

FP16量子化で3〜4倍、INT8で5〜8倍の高速化が可能。精度劣化はFP16でほぼゼロ、INT8で0.5%以内(適切なキャリブレーション前提)。

NsightがJetsonを採用している理由

  • NVIDIA Inception Program Partnerとして、Jetson AGX Orinのハードウェアリベート(Macnica経由)を活用
  • 元キーエンスの光学設計ノウハウで、照明・カメラ・検査フローまで一体設計
  • Jetson Thor(次世代プラットフォーム)のR&D評価も進行中
  • 累計40件以上のJetson外観検査プロジェクトの実績

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監修:元キーエンス画像処理部門エンジニア

Nsight株式会社の技術チームが監修。キーエンス画像処理部門での実務経験をもとに、製造業向けAI外観検査システムの設計・導入を行っている。会社概要 →